ありのままを自分を許す世界の限界

「君は十分頑張っているよ」

「今のままでも君は十分魅力的だよ」

「ありのままの自分でいいんだよ」

そんな言葉が優しさの象徴、対人支援における受容の象徴のように使われているシーンはよく見かけます。

確かに日本人は真面目だし、ストレスを抱えがちだし、集団の中で自分の存在を卑下したり、誰かと自分を比較して劣等感を抱いたりする人はとても多いですよね。

そんな人に「今のままでも十分魅力的だよ」と気づかせてあげることは、歪んだ自己評価を正しく書き換える上で大切なことです。私もそうした言葉に救われたことはありました。

特に心を病み、ストレスで今にも潰れそうな人を救うにはとても大事なアプローチです。

でも昨今は、こうした優しい言葉を万能の魔法の言葉だと勘違いして、濫用するコーチをはじめとした対人支援者も多く見かけるようになりました。

こうした甘く優しい受容の語りかけは、断じて万能の言葉ではありません。

一歩間違えれば、相手を穏やかな停滞した死の世界にとどめかねない猛毒の言葉です。

たとえば、成長したい、より良い未来を手に入れたい、夢を叶えたいと願っている人がいるとします。

もしその人に「今のままのあなたでいいんだよ」だなんて言ったらどうなると思いますか?

相手が、その時点で望んだ未来を手に入れられていないのは、その人の「今」が望む未来に対して正しくないからです。

つまり、その人が望む未来を手に入れるために必要な、知識、マインド、環境、人間関係を、今のその人が持ち合わせていないということです。

持ち合わせていないものを獲得するには、行動するしかありません。

それに今までの行動原理でそれらを手に入れられていないのだから、マインドセットを変えて行動原理そのものを変えていく必要があります。

今、理想の未来に届いていないのは、今と今までのやり方が間違っているからです。

この言葉に反発する人もいるかもしれません。その気持ちもわかります。過去の私であれば、「人生に間違いなんてない」と反論するでしょう。

私も同じ道を通ったので断言しますが、そこに反発心を持つ人は、理想の未来を実現するために本気の覚悟をもって物事をやりきっていない人です。自己受容と甘えを履き違えている人です。

やりきれば、そのやり方の限界が見えます。上手くいかないことが増え、夜も眠れないくらい悔しさに震える日がきます。

そのときになって初めて、今までの自分のやり方が間違っていて、他の場所に正解があるのだと気がつくのです。

そこからあらゆる行動を変え、マインドを変え、今までの自分とは全く違う自分に生まれ変わるように、新しいスタートを切ることになります。そこが本当のスタート地点です。

理想の未来を手に入れたいと願う相手に、軽率に「そのままでいい」と言うのは、望む未来を手に入れることを諦めろと言っているのと同義です。

めざす未来が遠く、理想が高く大きいほど、「ありのままの自分」ではそこへ到達することはできません。

変えるべきこと、捨てるべきもの、新たに手に入れるべきものは、山のようにあるのです。

あなたがもし、心が元気で、身の回りに不便なく暮らしていて、遠い理想の未来を望みながら生きいるなら。

強い現状否定がスタートラインになることもあるということを、ぜひ覚えていて頂ければと思います。

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